暗闇での撮影に適しているカメラ、という点では同じ
暗闇を撮影するためのカメラとしては「暗視カメラ」と「赤外線カメラ」があります。いずれのカメラもほぼ同じような意味合いであり、用途の面からみても同じですが、両者に違いがあるとするならば、どのようなことがあげられるでしょうか。暗視カメラと赤外線カメラを深掘りして、それぞれの違いについて調べてみましょう。
暗闇で撮影できる「暗視カメラ」
暗視カメラとは、夜間や光の届かない場所など、暗闇でも撮影できるカメラの総称です。なお、暗視カメラは「IRカメラ」と呼ばれることがあります。補足すると「IR」とは赤外線のことです。そのため、暗視カメラといえば赤外線カメラを指すことが多いですが、暗視カメラには暗闇を撮影できるカメラという意味合いがあることから、暗視補正ができるカメラも暗視カメラに含まれます。
赤外線カメラの詳細については後述することにして、はじめに暗視補正についてみていくことにしましょう。
暗視補正とは、暗闇で撮影した映像をできるだけ見やすい状態に映し出す機能のことです。真っ暗な状態で撮影すると映像が映らない状態となってしまいますが、撮影対象に対し、カメラから一定量の光を照射することで、暗闇で撮影した画像を比較的鮮明に映し出すことができます。
ただし、暗視補正の機能は周囲にいくらかの光がある場合に利用できるものであり、完全な暗闇の状態では利用することができない点に注意が必要です。
物質の存在や熱をとらえる「赤外線カメラ」
赤外線カメラといえば暗闇を撮影するカメラであり、「暗視カメラ」の代名詞的な存在といえますが、赤外線カメラは、もともと目に見えない赤外線をとらえるために利用されてきました。赤外線の性質としては、絶対零度(マイナス273度)以上の状態であれば、全ての物質から放射されていること、そして、物質の温度が高くなるほど放射量が増えることがあげられます。
赤外線カメラはその性質を利用し、物質の表面温度を測る場合に利用されます。物体表面の温度の様子を測定したものを「サーモグラフィー」と呼んでいますが、これは赤外線を利用したものです。
また、全ての物質から赤外線が放射されているという性質を利用すれば、赤外線で暗闇の中に存在している物質をとらえることができます。この性質を利用したのが赤外線カメラとなります。
ただし、赤外線カメラで撮影された画像は、一般的には白黒の画像となります。その理由は、赤外線は目に見えない光であり、赤外線に含まれる色を識別することが難しいためです。
暗闇における光の量に応じて設置場所を選ぼう
次に、暗視補正タイプのカメラと赤外線カメラの設置場所についてみていくことにしましょう。暗視補正タイプのカメラは、暗闇であってもある程度の光を必要とすることから、屋外であれば街灯がある場所、屋内であれば、若干量の光を放つ照明がある場所が適しています。
また、赤外線カメラは完全な暗闇の状態であっても撮影が可能であることから、屋外の場合、周囲に街灯が全くない場所でも利用できるほか、屋内の場合は光がほとんど当たらない倉庫内などでも利用が可能です。
暗視補正タイプのカメラと赤外線タイプのカメラは、暗闇であってもある程度の光があるかどうか、ということを元にして選ぶと良いでしょう。
暗視カメラと赤外線カメラは、用途としては同じですが、カメラの仕組みという面からみた場合、異なるカメラであることが理解できたのではないでしょうか。
それぞれのカメラの特質を活かしながら、適切な場所で利用し、防犯対策に役立てていきましょう。
(画像は写真ACより)
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