AI活用で、クラウドカメラは防犯以外の活用も期待
クラウドカメラの特長はネット環境を利用することですが、それによって映像の視聴やカメラの操作がパソコンやスマホでできるようになりました。これでも十分に画期的といえますが、クラウドカメラにAI(人工知能)の機能を取り入れることで、今後は、我々の想像を超えた利用方法が生み出されるかもしれません。
今回は、AIがクラウドカメラにもたらす可能性について調べていきましょう。
万引きする可能性がある人をAIで察知
クラウドカメラにAIの機能を取り入れることは、将来的な話のようにも感じられますが、すでに実用化されているのです。はじめに、AIの機能を活用したクラウドカメラのサービスについてみていくことにしましょう。NTT東日本は、AI搭載カメラの開発・販売を行うアースアイズ株式会社と提携して、万引きの発生を防止するサービス「AIガードマン」を提供しています。
万引きをしようとしている人は、警戒心が強いために周囲を見回す傾向があること、また、そわそわと落ち着きのない動きをすることがあります。
「AIガードマン」は、万引きしようとしている人の特徴を把握したAIが、店内で不審な行動をしている人をカメラでとらえたときに、店員のスマホに通知する仕組みです。
これにより、店員は不審な動きをしている人に対して「何かお探しですか?」と声をかけることができるため、万引き行為を未然に防ぐことが可能となります。
クラウドカメラで店内を撮影するだけでも、万引き行為を防止する効果は期待できますが、AIを搭載したカメラが万引きをする可能性がある人をとらえれば、万引きの防止効果はより高まるといえるでしょう。
参考:NTT東日本 AIガードマン
https://business.ntt-east.co.jp/service/ai-guardman/
居酒屋でAIカメラを活用し、未成年者の識別が可能に!
また、AIを搭載したカメラが年齢を認証する動きもみられます。業務システムのクラウドサービスを提供する株式会社チャオは2019年1月、居酒屋チェーン店において年齢認証における実証実験を実施したと発表しました。未成年者の飲酒は法律で禁じられていますが、居酒屋においては、店内のオペレーションが多忙ということもあり、未成年者が入店しているかどうかを完全に把握することは難しい状況といえます。
そこで、未成年者の顔の特徴を学習したAIが、入店者が未成年かどうかを判断し、未成年者と判断した場合は「要年齢確認」と通知します。
実証実験の第一段階においては、未成年者であると正しく検知した割合は90.7%でしたが、ディープラーニングによる独自識別エンジンを構築したことにより、検知率は96.1%に上昇しました。
今後は、年齢認証の検知率を向上させることで、居酒屋の店舗において実用化が見込まれます。また、居酒屋にとどまらず、幅広い業種でAI搭載カメラによる年齢認証が導入されていくことでしょう。
参考:株式会社チャオ プレスリリース(2019年1月21日付)
https://www.ciaoinc.jp/press/?p=260
AIカメラが河川の状況を学習し、将来的には避難告知も
そのほか、株式会社チャオは2018年9月、北九州市が運営する「防災情報北九州」において、同社のクラウドカメラ「Ciao Camera(以下、チャオカメラ)」で撮影した河川の映像を一般公開したと発表しました。「防災情報北九州」にアクセスすることによって、河川の様子をリアルタイムに視聴することができますが、チャオカメラにはAIが搭載されていることが特徴です。
それにより、河川の状況をチャオカメラが学習することができる仕組みとなっています。その機能を活用すれば、将来的にはチャオカメラが河川の増水を察知することによって、市民に対して避難のメールを送付し、迅速な避難行動を促すことも期待されています。
参考:株式会社チャオ プレスリリース(2018年9月4日付)
https://www.ciaoinc.jp/press/?p=231
AIが搭載されているカメラが実用化されている状況についてみてきましたが、防犯の分野だけにとどまらず、多方面に活用されていくことが実感できたのではないでしょうか。
AIによる分析、そして、カメラによる追跡の機能を駆使することで、今後は予想もしなかった場面でAIカメラが活用されるかもしれません。
(画像は写真ACより)
AIカメラ総研 https://aicamera-soken.com/