高齢化社会と見守り
世界で最も速く進んでいるといわれる日本社会の高齢化。2060年には人口は現在の1億2000万人から8000万人に減少し、そのうち65歳以上が40%を占めるようになる、という推計もあります。若い世代は単身で、あるいは自分の家族と暮らし、親世代は高齢者だけで暮らすという世帯が全国でどんどん増えています。
子が親の近くに住んでいれば、頻繁に様子を見にいくことも可能ですが、遠方であればそうもいきません。一般的に用いられる連絡手段は電話ですが、相手(親)が電話に出ないときは、不在だからなのか、病気などで動けないからなのかもわかりません。
親の年齢が上がれば上がるほどこうした心配はつのり、何らかの見守りが必要となってきます。クラウドカメラはこういう状況に対応するための有効な手段として注目されてきています。どのように利用できるかを見てみることにいたしましょう。
クラウドカメラがもたらした導入コストの低下
クラウドカメラを用いると、カメラが捉えた映像をインターネット経由でリアルタイムで見たり、クラウドの中にある録画装置に保存したりすることができます。利用者は、パソコンやスマートフォンを用いて、いつでもどこからでもカメラの映像を見ることができます。利用者は、録画装置などを自分で購入する必要はなく、クラウドカメラサービス提供会社と契約し、安価なカメラを購入して初期設定を済ませればすぐに使い始めることができます。
カメラ本体は数千円から数万円、利用料は、ライブ映像を見るだけなら無料、映像保存期間が1週間で月額千円程度というのが一般的です。中には、カメラに内蔵したSDカードに画像を保存し、利用料が無料というサービスもあります。
カメラの設置場所にインターネット接続環境(および、場合によってはWi-Fi環境)が必要となりますが、一昔前の監視カメラと比較すると圧倒的な低コストで導入することが可能になりました。
どのような見守りができるの?
個人利用を想定した監視カメラも多機能化が進み、単に「見る」だけでなく、様々なことができるようになっています。まず、「見る」ことの拡張機能として、利用者側からカメラの向きを変える、ズームするということが可能なカメラが増えています。ナイトビジョン機能搭載機種であれば暗い部屋もくっきりと見ることができます。
また、複数のカメラの制御もできるので、居間、寝室、台所など複数箇所の映像を見ることが可能です。
マイクとスピーカーを内蔵し、双方向で会話ができる機種もあります。ただし、カメラがいきなり喋りだすので、初めて使用するときは、見られている側が驚かないように配慮することが必要です。
最近のクラウドカメラでできることはこれだけではありません。
異常音、怪しい動き、ドア・窓などの開け閉め、温湿度など、カメラ側の各種センサが捉えたデータを利用者のスマートフォンに通知する、さらにカメラに備えられた赤外線リモコン機能を用いて部屋のエアコン、テレビや照明などをON/OFFするという家電製品操作も可能になってきています。
老父母が倒れた、助けを求める、猛暑続きなのにエアコンを使っていない、空き巣が入ったなどという場合の備えとして、離れて暮らす家族にとっては大きな安心を与えることになるでしょう。
まとめ
見守りという行為は、第三者が事業として行う場合は個人情報の保護はもとよりプライバシーの侵害にも細心の注意を払わなければなりません。家族間では、親子間の合意があればこのような問題が起きることは少ないでしょう。ますます高齢化が進む我が国においては、離れて暮らす家族の安心のため、今後もますますクラウドカメラの利用が進んでいくことでしょう。
AIカメラ総研 https://aicamera-soken.com/
(画像は写真ACより)