様々な業種で使われているクラウドカメラ
テレビ番組制作や個人利用以外で用いられるビデオカメラの用途は、かつては、ほぼ「監視」でした。その主目的は防犯と防災でした。かつてのカメラは、録画機器を近くに設置しなければならず、録画時間、録画メディア交換、機器の故障対応など、運用上いろいろな問題や制限がありました。
インターネットの普及に伴い、テレビカメラもインターネットに接続され、撮影した映像はインターネットに置かれた機材に録画されるようになりました。これがクラウドカメラです。クラウドカメラは、それまでの監視カメラが持っていた問題の多くを一気に解決し、様々なシーンで利用されるようになりました。
クラウドカメラはそれぞれの業種でどのように利用されているのでしょう。コンビニエンスストアや銀行などでは防犯カメラをよく目にするので、それ以外の業種におけるクラウドカメラ活用事例を集めてみました。
建設業
最初は建設業です。建設現場は、風雨にさらされ粉塵が舞うという、精密機械の設置に適した環境ではありません。録画メディアがビデオテープだった頃は、建設現場のカメラによる監視は実用的とはいえないものでした。クラウドカメラは、録画機器を現場に設置しないですむので、様々な目的で使われるようになりました。主な目的はやはり防犯です。建設現場は、多くの場合、建設資材を置いたまま、夜間はほぼ無人となります。
事務所荒らしや資材盗難、そして放火などの防止にクラウドカメラが役立っています。設置したカメラの映像は、本社の警備部門や警備会社に送られて24時間監視されるのです。
また、録画機材がクラウドにあるため、故障の心配が少なく、万が一事務所が盗難にあっても、録画機材が盗まれる心配もありません。
IT・通信業
クラウドカメラを提供するのはIT・通信業の会社です。この業界ではどのように使われているのでしょう。ネットショップを利用する場合、ほとんどの方がオンラインで決済を行います。こうした、e-コマースのオンライン決済システムなどを手がける会社の事例をご紹介しましょう。
クレジットカードや取り引きに関する情報処理、決済や送金に関するサービスを提供会社は、情報セキュリティを確保するための国際基準を満たさなければなりません。その基準では入退室管理が義務づけられています。
この会社では、入退室管理やイベント開催時のセキュリティチェックなどのために、クラウドカメラを導入しました。離れたフロアの状況を一箇所で確認できる、自宅にいても確認できるなど、業務効率向上に貢献しています。
この会社は現在、急成長の段階にあり、従業員増加などに伴って監視ポイントが増えてもクラウドカメラなら柔軟に対応が可能です。
介護・福祉業
少子高齢化が急速に進む日本では老人福祉施設が急増しています。こうした施設を運用する企業ではクラウドカメラはどのように活用されているのでしょう。防犯・防災の目的で利用されているのはもちろんですが、老人福祉施設特有の問題解決にもクラウドカメラは活用されています。その代表は徘徊対策です。
徘徊の症状がある施設利用者が職員に気づかれずに施設外に出てしまうと、捜索などで大変な労力を必要とするだけでなく、利用者が事故に巻き込まれる危険性もあります。
クラウドカメラを出入り口などに複数設置することによって、職員がリアルタイムで映像を確認したり、録画された映像を確認したりすることによって徘徊を未然に防ぎ、万が一お年寄りがいなくなった場合は捜索に活用されています。
また、施設内では、利用者同士、利用者と職員の間にトラブルも起こります。それ以外にも利用者の転倒やベッドからの転落などのアクシデントも発生します。施設内各所に設置したクラウドカメラの映像を録画しておくことによって、トラブルやアクシデント発生時の原因特定などに活用することも可能です。
まとめ
クラウドカメラの特長をひとことで言い表すと、映像がクラウド上にあるということです。映像がクラウドにあるため、どこからでも見ることができるという最大のメリットの他に、運用上のメリットも見逃すことができません。つまり、録画機器をカメラの近くに設置する必要がないため、カメラの設置が簡単で、録画機器の故障を心配する必要もないということです。
クラウドカメラが活用されている業種を三つご紹介しましたが、他の業種でもこうしたメリットを生かして様々なシーンで活用されています。
AIカメラ総研 https://aicamera-soken.com/
(画像は写真ACより)