夜だからこそ監視したい
防犯・防災のための監視で重要な時間帯は夜です。人々が活動を休止して寝静まった暗闇だからこそ、人に代わって見守り、監視することが必要です。監視カメラがこの役割を担ってきましたが、普及型のカメラでは感度が十分とはいえませんでした。カメラがクラウド対応になり、利用シーンが格段に増えましたが、夜間撮影の性能はどうなったのでしょうか。最近のクラウドカメラの夜間撮影性能を調べてみました。
夜と写真
今では静止画も動画もデジタルが主流となりました。静止画の撮影でフィルムが用いられるのは、もはや趣味のひとつ。動画撮影にフィルムを用いることはほぼなくなったといっていいでしょう(フィルム自体はまだ入手可能ですが)。フィルムに画像が記録される原理は化学反応です。フィルムに塗布されている銀塩(ハロゲン化銀)に光が当たると、その一部が分解して極微小な銀になりますが、この段階では画像として目で見ることはできません。これを薬品に浸し、複雑な反応過程を経て目に見える画像にするのが現像です。
初期のカメラは、銀塩乳剤を塗ったガラスなどに露光させて画像を得ていましたが、晴れた野外でも数分という露光時間を要しました。今の言い方だと『フィルムの感度が低かった』のです。
その後の感光材料の技術開発は、感度の向上、微粒子化そしてカラーへと進んで行きますが、最後まで、高感度化には限界がありました。
フィルムの感度はISO100、ISO400のように表記されます。実用的な感度はおおむねISO1600が限界で、特殊な処理(増感といいます)をしてもISO6400くらいまでです。しかも、解像度が下がり粒子も荒れて、画質はどんどん悪くなります。
最近のデジカメは、というと、常用感度ISO6400やISO12800は当たり前。ISO102400まで撮影できるカメラまであります。静止画撮影のカメラでは、夜の撮影は普通に行えるようになったのです。
動画においても同様で、最新のビデオカメラでは、夜間撮影モードが搭載され、キレイな夜景が撮れることをウリにした製品が珍しくなくなりました。
これらから推察すると、クラウドカメラで利用されるカメラの性能も期待できそうです。クラウドカメラで用いられている最新カメラの性能を見てみましょう。
わずかな明るさと真っ暗闇
夜の暗さといっても、かすかに物が見える暗さ(ということはわずかな光がある)と、いきなり鼻をつままれてもわからないくらいの真っ暗闇があります。カメラの夜間撮影性能は、この2種類の暗さに対する性能ということができます。
わずかな光がでも撮影できる性能、というのは先に述べた静止画撮影用のカメラと同じことです。
カメラは光を記録する機械なので、全く光のない暗黒状態では何も写りません。写すためにはカメラが光を発することが必要です。一般的なのはストロボですね。夜間監視用のカメラの場合は赤外線を使います。カメラが赤外線を発することで、真っ暗闇でも画像(ただしモノクロ)を得ることができます。
クラウドカメラの夜間撮影性能
クラウドカメラサービスを提供している会社は数多くありますが、カメラは各カメラメーカーの製品を採用しています。なかでも、多くのクラウドカメラサービス提供会社が採用している卵型のカメラがあります。価格は25,000円ほどで、広角111°のレンズを備え、720p・30fpsの動画が撮れるなかなかのスグレモノです。
このカメラの夜間撮影機能は、というと、カラーでとらえることのできる明るさは、被写体照度0.1ルクスまで。それ以上暗くなると、装備されたLEDから赤外線を照射して撮影を行います。
金に糸目をつけず、カメラ1台に数百万円の出費を惜しまなければ、超高感度35mmフルサイズセンサーを採用し、夜でも昼間のようなカラー画像を撮ることができるという高級機もあります。
まとめ
技術の進歩は日進月歩。近い将来、真夜中でも真昼に撮ったのと同じような高精細カラー画像を撮影できるカメラが手頃な価格で買えるようになるのでしょう。Youtube総研 https://youtube-soken.com/
(画像は写真ACより)