監視カメラと動物病院
監視用のカメラは、これまでは主に防犯、防災の目的で利用されることがほとんどでした。何らかの目的で、対象物を長時間撮影して映像を確認したい、保存しておきたいというニーズがあったとしても、家庭用のビデオカメラで代用できるわけでもなく、専用の機器そのものは大変高価で導入できないということが大半だったのではないでしょうか。
カメラが撮影した映像をクラウドに保存するクラウドカメラの登場で、このハードルは一気に下がり、監視用カメラの利用シーンが様々な分野に拡大しているのです。
動物病院もそのひとつです。クラウドカメラが動物病院でどのように活用されいるかを見てみましょう。
大規模動物病院の事例
最初に大規模な動物病院を見てみましょう。獣医師が数十名、受付、待合室、診察室、手術室、隔離室などを備え、人を対象とした大病院とほとんど変わるところはありません。こうした大病院におけるニーズとはどんなものだったのでしょう。獣医師の世界でも専門分化が進んでいます。治療の段階で別の医師が担当することになった場合、前の治療状況を画像に残しておくことで引き継ぎがスムーズに行えるようになります。
大きな病院では医師を始めとした医療スタッフが複数階に散らばっていることもしばしばです。クラウドカメラの導入で、わざわざ治療の場に来てもらわなくても、カメラの映像をスマートフォンで確認してアドバイスを受ける、ということも可能になりました。
他にも、入院室や隔離室にカメラを設置して、動物の状態や、動物同士のトラブルを見守るといった目的で活用されています。病院の防犯にももちろん活用されています。
小規模動物病院の事例
小規模動物病院の場合、設備の導入に際しても大規模病院のような大型投資はなかなかできません。監視用のカメラもそうでした。これが、クラウド対応になったことで、カメラ代金プラス月額使用料という、スマートフォンを契約するのと同じ感覚で導入が可能になったのです。映像の保存期間もカメラごとに変えられるなど、クラウドサービスならではのメリットもあります。
治療対象となる犬や猫など様々な動物は、飼われている環境と異なる病院内で想定外の行動に出ることがあります。不幸にして怪我をしたり、事故にあったりという場合、責任の所在を飼い主に映像で説明できることも可能になりました。
もちろん、小規模動物病院の場合でもクラウドカメラは防犯目的でも活用されています。
一歩進んだ活用事例
ハイテク応用のカメラも登場しました。カメラは照度計を備えた赤外線カメラ。マイクロ波ドップラーセンサーを用いて、動物の心拍数、呼吸数、体動の他に、温度、湿度も測定できるというスグレものです。入院中の動物のケージに取り付けて、動物の様子を24時間見守ることができます。非接触なので動物にストレスを与えることもありません。病院内のパソコンはもちろん、院外からもスマートフォンで映像の他、心拍・呼吸・体動のグラフを確認することが可能です。
また、医師だけでなく、得られた映像を飼い主に公開することも可能です。飼い主が多忙で来院できない場合もペットの状態を確認できるのです。
ペットシッターでも
動物病院ではありませんが、ペットシッターサービスでもクラウドカメラが活躍しています。ベビーシッターならぬペットシッター。専属の動物看護師が、飼い主の自宅に赴いてペットの介護や看護などのサービスを提供します。看護師が、モバイルタイプのクラウドカメラを装着して、世話の様子を撮影します。飼い主はどこからでもペットの様子を確認することができるのです。
まとめ
犬や猫などペットの人気が高まるに連れ、飼い主はその健康が気になるものです。ましてや、入院や、ペット連れで外出できない場合などは家族同様に心配なことでしょう。クラウドカメラはペットの健康を預かる場でも活躍しているのです。(画像は写真ACより)