クラウドカメラは人手不足の救世主?
少子高齢化が進んで働き手の数が減り続けている日本。そこかしこで人手不足という声が聞こえてきます。建築の現場も例外ではありません。クラウドカメラは建築現場における人手不足の救世主になるのでしょうか?建築現場におけるクラウドカメラと、その活用事例を見てみることにいたしましょう。
建築現場と防犯
ビルは完成してしまえば万全のセキュリティでガッチリ守られます。でも、作りかけのビルはそうもいきません。外部から建築現場への出入りはできないようになっているものの、現場には高価な建築資材が大量に積みっぱなしということも多く、仮設の扉では万全とはいえません。対策といえば、一般的には警備員による目視点検です。とはいえ、建設期間中、24時間、嵐の日も猛暑・酷寒の季節でも、十分な数の警備員を雇うこと自体が困難である上、雇えたとしても人件費のコストは膨大です。
監視カメラで代替しようにも、従来のカメラでは、広大な現場をカバーするだけの台数のみならず、リアルタイムの監視をしようとすると、やはり莫大なコストがかかります。こうした問題は、クラウドカメラで解決されたのです。
建築現場とクラウドカメラ
クラウドカメラは、得られた映像をクラウドに送って保存します。建築現場の視点で見ると、現場内に録画機器を置かなくてもよく、カメラと電源があってインターネットに接続できれば、どこにでも設置できるということです。インターネットへの接続は無線でできます。ということは、電源さえあれば建築現場のどこにでも設置できるということです。電源を確保することが難しければ太陽光発電ユニットを組み合わせればよいのです。
映像がクラウドに送られるということは、いつでもどこからでも映像を確認できるということです。建築現場にとってこれほどありがたいことはありません。現場監督は、事務所の中だけなく、本社ビルからでも自宅からでも、自分が担当する現場の映像を24時間確認できるのです。
工事の進捗に合わせてカメラの設置場所を変更することも容易です。さらに、多くの設備がレンタルで賄われる建築現場においては、こうしたカメラ設備のレンタルも普通になりました。
活用事例
しっかりした施錠ができない建築現場では、窃盗は意外と起こるものだそうです。電線(材料の大半は「銅」)が盗まれると被害額は数百万円に及びます。ある建設会社では、窃盗現場を捉えた映像を証拠写真として提出できたそうです。建築現場が山奥ともなると、これまでは監視カメラは現実的な解決策ではありませんでした。これもクラウドカメラで解決です。
設置は簡単、離れた現場の状況もいつでもどこからでも可能。移動中に何かあってもスマートフォンからすぐ確認。工事が終われば取り外しも簡単。こうした特長が買われて、様々な建築会社で採用されています。
さらに、建築工事では、工期が遅れないようにするために工事の進捗確認もとても重要です。進捗確認の場面でもクラウドカメラの特長が活かされています。工事のボトルネックになりそうな場所にカメラを設置して随時確認、ボトルネックの場所が変わればカメラの移設も簡単です。
工事の現場では事故もつきもの。クラウドカメラは、防犯や進捗確認の他に、安全対策にも活用されています。作業者の安全確保という観点からは、危険度が高いと考えられる場所、工事車両(重機やダンプ)周辺の状況の確認など。そして、もちろん一般市民が通行する場所の安全確認にも活用されています。
まとめ
2020年の東京オリンピックに向けて公共工事が真っ盛りです。それ以外でも、ビルや道路、橋などの工事もあちこちで行われています。クラウド化されて利用の自由度が格段に増えた監視用カメラは、建築の現場で今後ますますその役割を拡大していくことでしょう。(画像は写真ACより)