社会インフラとクラウドカメラ
内閣府によると、社会インフラの範囲は、道路、港湾、空港、上下水道や電気・ガス、医療、消防・警察、行政サービスなど多岐に亘るとされています。極端な言い方をすれば、あって当たり前、かつ、ないと困る社会基盤であるといえます。一方、経済産業省はICTによる社会インフラの高度化を進めています。ICTを活用した街づくり推進における地方自治体調査では、安全・安心分野(犯罪抑止、耐災害性強化)と医療、介護、福祉、教育等の生活分野のふたつが、ICTを活用した街づくりの期待分野の1位、2位になりました。
このふたつの分野いずれにおいても、画像・映像が重要な情報であるということに異論はないでしょう。さらに、ICTの活用を考えた場合、インターネット、さらにクラウドも活用するというのが常識となりました。
つまり、ICTを活用した街づくりにおいて、カメラ、つまりクラウドカメラが重要な役割を担うようになりつつあるといえるのではないでしょうか。
いくつかの事例と、今後の可能性を見てみることにいたしましょう。
安全・安心分野
犯罪抑止犯罪抑止は、監視カメラ利用目的の筆頭候補のひとつといってもよいでしょう。カメラがクラウド化されるはるか前から使われてきました。現在では、多くの自治体で、通学路や夜間人通りの少ない道路などを中心に、百台以上のカメラを設置して集中監視している事例も増えてきました。
人は、「見られている」と感じるだけでも犯罪行為の実行に及ぶことを躊躇するものです。これが抑止効果です。ニュースでも、防犯カメラの映像をもとに容疑者を割り出した、という事例をよく目にします。今後、4Kやさらに8Kのカメラが普及すれば、より高い防犯効果が得られることでしょう。
耐災害性強化
我が国は、地震、台風、河川氾濫、噴火、土砂崩れ、大雪など1年を通して自然災害が発生します。大災害が発生する度に、逃げ遅れて尊い命を失う人が後を絶ちません。
「私は大丈夫」、「今回は大丈夫だろう」、「まだ平気だよ」と思って逃げ遅れる「正常性バイアス」も無視できませんが、重要なのは客観的な情報です。川があふれる、山が崩れそうといった生の映像を直に見れば、避難をためらう人はいないでしょう。
大きな損害を受けた自治体は、被害を繰り返さないためにも、監視カメラをクラウド化して、住民への監視映像の公開をはじめ、職員の見回り効率のアップにも役立てています。
生活分野
医療、介護、福祉、教育病院は、患者だけでなく、不特定多数の人が出入りします。外来病棟であれはセキュリティチェックもないのが普通です。
このような、セキュリティのゆるい場所の防犯、さらに病棟や手術室など重要施設の監視、さらに最近注目を集めた、薬品庫の管理にもクラウドカメラが活用されるようになりました
また、防犯だけでなく、医療の現場においては、患部の画像、X線画像、CT画像、MRI画像など、画像情報が大量に使用されます。こうした画像がクラウド上で集中管理され、必要なときに必要な場所で見られるようになっています。僻地医療への効果は計り知れないものがあるといってよいでしょう。
介護、福祉、教育の現場においても、サービスを提供する側は慢性的な人材不足です。サービスの質を低下させずに人材不足を賄うためにクラウドカメラが今後ますますその威力を発揮していくことでしょう。
まとめ
「見る」というのは、対象物の状態を確認するときの最も重要な手段です。人の目の代わりに用いられるカメラの映像がクラウドで保存される、あるいはクラウド経由でライブ映像を見ることができるというのは、無限の可能性を秘めているといっても過言ではないでしょう。社会インフラのキーデバイスとして、クラウドカメラは今後ますますその重要性が高まっていくに違いありません。
(画像は写真ACより)