クラウド?カメラ?知識ゼロから分かる業界最前線!
近年は街を歩いていてもさまざまなところで監視カメラを見かけるようになりました。公共交通機関や商業施設はもちろん、オフィスビルやマンション、工場、駐車場、介護福祉の現場まであらゆるシーンの安全で適正な運用を支える目として、カメラが活躍しています。リスク社会に対する意識も反映し、ますます高いニーズが寄せられる防犯・監視カメラ業界で、今最も話題を集めているのは、なんといってもクラウドカメラです。このクラウドカメラの誕生とサービス普及により、社会インフラの支え方、カメラ運用のあり方が激変したといっても過言ではありません。
しかしクラウドカメラといわれても、どんなものかまったくイメージできない、そもそも最近の言葉はちんぷんかんぷんなものばかりと感じられている方もあるでしょう。そこで今回は超基礎の入門編として、クラウドカメラとはなにか、なぜ誕生し、どんなメリットをもっているのか、分かりやすく解説していきます。
まずはクラウドについて理解しよう!
クラウドカメラはその名の通り、クラウドを利用して防犯・監視カメラを運用するという発想から生まれたものです。近年のさまざまなサービスやソフト、業務システムは、クラウドによる恩恵を受けて進化しており、IT関連には疎いという方も「クラウド」という言葉が世間の至るところに広まっていることは、およそ感じられていることと思います。しかし急速な発展と普及を遂げたこともあり、クラウドのもつ概念や意味が、そもそもよく理解できていない方もあるでしょう。そこでまずはクラウドとはなにかを整理します。クラウドの登場以前、コンピュータのソフトウェアやデータは、個々に導入・保有し、管理して利用するのが当然となっていました。いわば手元にある資源だけで処理を行っていたわけです。
しかしこれではどうしても資源規模が小さく限定されやすく、いちいち全てを導入・管理することを続けていると手間やコストが膨れあがってしまいます。そこでこのコンピュータ資源の利用形態を仮想化技術によって変革し、ユーザーがいくらでも必要な分だけ、必要な時にサービスとして使えるようにしようとしたのが“クラウド”なのです。
クラウドの場合、ユーザーはPCなどの端末とブラウザ、インターネット接続環境といった最低限の環境さえ整えれば、その上にまるで何台もの仮想コンピュータやソフト、システムが存在するかのように、処理作業を行えます。
利用するサービスのサーバーがどこに存在するかやそのリソースを意識する必要はなく、インターネット経由で必要なデータやサービスを調節してやりとりし、使った分だけの対価を支払うなどすればよいのです。
地上からcloud(雲・クラウド)の中にあるコンピュータを必要に応じて人々が使い合うというイメージで、こうした仮想化技術のネットワーク図を示す際に、“雲”が用いられることから「クラウド」、「クラウドサービス」と呼ばれるようになったといわれています。
個々に購入・準備して管理・利用していたソフトウェアが、必要な時にだけ使うサービスへと抽象化され、資源のある場所や全体量を気にすることなく、柔軟かつシームレスに、自在に手軽な利用ができるものとなったのがクラウドといえるでしょう。
クラウドカメラの特徴とその誕生経緯
クラウドはこうした仮想化の仕組みにより、あらゆるソフトやシステムを、ユーザーの環境に左右されることなく、身近で便利に使えるサービスへと変えてきました。クラウドカメラもやはりその流れにあるものと理解できます。従来の防犯・監視カメラでは、カメラ端末だけでなく、それがとらえた映像のデータを保存する専用の録画機器やモニターを準備し、現場でケーブル接続するなどの方式をとる必要がありました。そのためまとまった初期投資コストがかかるほか、運用・管理のメンテナンスにおける手間とコストも馬鹿にならず、導入ハードルが高いものになっていたのです。
これに対し、クラウドカメラは映像データをネットワーク経由で送信し、クラウド上で保存します。ユーザーはデータを個別に管理する必要がなく、映像の確認は手持ちのPCやスマートフォンなどでサービスにアクセスすれば、いつでもどこでも自在に実行できます。リアルタイムのモニタリングも、過去の特定ポイントに戻った確認も、すぐに可能です。
カメラ端末とアクセス用のデバイス、オンライン環境さえあればよく、追加の設備投資がほぼ不要で、面倒な工事やシステム設計も不要、迅速かつ柔軟に導入できることに加え、サービスの月額利用料を負担するだけでよいため、コストを最小限に抑えて無駄なく利活用できるのです。
録画機器を個別に設けないため、省スペースで、どこにでもカメラを設置しやすく、高画質映像で記録してもデータ容量を気にする必要がないこと、録画機器の故障や破壊によるデータ逸失のリスクをなくし安全に、安定的な運用が行えることも大きなメリットです。
複数のカメラによるデータを管理する際も、遠隔地にある本部などから一括して実行でき、大規模で複雑な監視体制をとるケースや、映像データの比較検証を行いたいケースなどにも便利です。複数の拠点をもつ企業や、マーケティング用途などで力を発揮するでしょう。
これらメリットは、いずれもクラウドがもたらしたものといえます。個人情報や秘匿性の高い情報を含む、大切な映像データを取り扱うため、オープンなインターネット上へ自動送信することを不安に思われる方もあるかと思われますが、多くのサービスで最先端の暗号化技術を導入するなど、対策が施されていますから、むしろセキュリティ性、プライバシー性も向上しているケースがほとんどです。
映像の確認やデータ管理は、IDとパスワードなどを用いた認証を経て、サービス内にログインして実行します。このアクセス権限管理をきちんと行っておけば、情報漏洩のリスクは最小限に抑えられるでしょう。
いかがでしたか。クラウドカメラとはなにで、どんな特徴をもち、なぜ熱い注目を集めているのか、およそ理解できたのではないかと思います。導入ハードルを下げて身近なサービスとするクラウドの特性をベースに、幅広いシーンの多様なカメラニーズに応えるものとなっていますから、ぜひうまく活用してみてください。
(画像は写真素材 足成より)
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