従来のアナログタイプとはここが違う!
昨今はさまざまなサービスにおけるクラウド化が進んでいますが、ホームセキュリティや商業施設における防犯対策、作業現場の適正管理などで活用される監視カメラ分野においても、クラウドカメラへの関心が高まっています。実際の導入事例も急増しているこのクラウドカメラ、監視カメラとして用いると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。これまでの監視カメラ・防犯カメラとの違いにも注目しながら、詳しくみていくこととしましょう。
まずクラウドカメラとは何かですが、ごく簡単に説明すると、カメラ本体でインターネットに接続、録画映像のデータをクラウド上のサーバーに蓄積していくタイプのカメラになります。よって従来の監視カメラ・防犯カメラとの最大の違いは、録画データの保存先がどこかという点です。
これまでのアナログタイプともいえる通常カメラの場合、別途録画機器HDDやデータ保存用のmicro SDカードなどが必要で、映像を捉えるカメラ本体と機器をケーブルで接続したり、micro SDカードを本体に挿入したりすることで保存領域を確保、そこにデータを格納していく仕組みとなっています。映像の確認は、さらに機器と接続した専用モニターや、カメラ本体から抜き取ったmicro SDカードをPCなどに挿して行います。
一方、クラウドカメラは映像データをリアルタイムにインターネット経由で送信、クラウドサーバーで保存・管理していきます。映像の確認はサービスにログインし、クラウドにアクセスすることで可能になります。つまり、録画機器や記憶媒体、専用モニターといったレコーダーシステムの機能がまとめてクラウドに実装されているものなのです。
幅広く安定的に導入しやすい!
ではこうした違いが生むメリットには、どのようなものが考えられるでしょう。まず第一に、物理的な録画機器や記憶媒体を別に用意しなくてよい簡便さが挙げられます。この点は、長く運用していく監視カメラにおいて大きなメリットであり、保守・メンテナンスにかかるコストを大幅に削減できることにつながります。また、物理的なHDDなどに保存する場合、必ず容量に限りがあり、高画質なデータや複数のカメラからのデータを取り扱おうとすると、さらに容量が大きく高額なものを用意しなければなりません。専用録画機器やモニターと接続するなら、そのためのスペースを確保する必要もあり、設置場所が制約されることもあります。カメラ本体に記憶媒体を挿入し、それを出し入れするタイプでは、映像の確認にいちいち抜き挿しを行わなければならず、リアルタイムでの監視は事実上不可能になってしまいます。
録画機器や記憶媒体は消耗品ですから、常に故障のリスクを抱えていることも考慮しなければなりません。経年劣化による自然故障だけでなく、故意に破壊されたり、記憶媒体が盗難に遭ったりしても、大切なデータが失われてしまうでしょう。災害時の前後データも得られる可能性が低く、監視システムとして安定性が低いものになりがちです。
クラウドカメラは、物理的な録画機器や記憶媒体を必要としないことでこうした問題点をクリアしています。カメラ本体が取り付けられる場所ならば、どこでもすぐに監視の目を入れることができ、低コスト・省スペースでの迅速な運用開始が可能です。
保存先がクラウドとなることで、データ容量を気にする必要もなくなりますし、故障や破壊、盗難、大規模災害などによる録画データの損失リスクも最小限にまでなくすことができます。監視カメラという活用用途を考えると、この高い安定運用性は非常に大きな頼れるメリットでしょう。
クラウド上にデータがあるということは、モニタリングでも高い利便性と強みを発揮します。従来のカメラによるシステムでは、基本的にカメラ設置現場での監視に限られます。一方クラウドカメラならば、いつでもどこでも、時間や場所、デバイスに制約されることなく、サーバーにアクセスして映像をチェックすることができます。
大規模でも小規模でも設計が自在!
コストを抑え、省スペースで安定的に運用できるという点から、小規模な店舗・個人事業主、家庭における利活用でメリットがあると考えられるクラウドカメラですが、より大規模な事業者の監視システム構築にも向いています。さまざまな地域に多数の店舗を保有し、新規設置や設置廃止のシステム変更が頻繁に発生するような大規模チェーン、多くの現場監視が必要な事業者も、それぞれの場所に監視体制を設ける必要がなくなり、本部での統合管理が容易に行えるようになります。
各店舗や現場での設置工事を簡略化でき、運用コストを最小限に抑えながら、柔軟なシステムで監視業務を一括化して行える、拠点が多くなっても自在に対応させられるメリットは非常に魅力のあるものとなるでしょう。
このようにクラウドカメラはシステムの設計・構築も柔軟に可能で、あらゆる業種業態で、規模を問わず、監視カメラニーズを高水準に満たすことができます。
こうした多数のメリットをもつクラウドカメラですが、クラウドサービスとなるため、利用に際しては提供事業者を選定し、導入を検討していくこととなります。サービスによってそれぞれ特色があり、価格や提供機能が異なりますから、ユーザー口コミなども参考に、比較していくことをおすすめします。
マルチベンダー対応でこれまで用いていたカメラ本体も無駄にせず活用できるサービスや、高精度な顔識別機能を搭載したもの、鮮明で高画質な映像にこだわったもの、録画データ送信時のセキュリティをより高度に引き上げたサービスなど、多様なニーズを満たせる充実した市場となってきていますから、比較検討する中で、きっと最適なものを見つけることができるでしょう。
監視カメラの導入を諦めていた方も、既に活用されている方も、ぜひクラウドカメラの利活用を検討されてみてください。
(画像は写真素材 足成より)
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